冠動脈解剖、洞結節、房室結節支配
- 洞房結節は60%の症例で右冠動脈(洞房結節枝)、40%回旋枝(心房枝)
房室結節は90%右冠動脈(AV node artery=PL)、10%回旋枝(PL)
右脚及び左脚前枝は前下行枝からの中隔枝により
左脚後枝は右冠動脈の後下行枝・回旋枝からの両者により
栄養されている。
- 洞房結節枝を分岐する回旋枝の心房枝は心房間の側副血行路が発達するため,洞性徐脈性不整脈は一過性に経過することが多い.
- 房室結節は左右冠動脈より2重支配を受けており,房室結節内ブロックは一過性に経過することが多い.
- 右脚は前下行枝より血流支配を受けており,右脚ブロックの出現は両心機能の低下をきたし予後不良の徴候である.
- 左脚後枝は左右冠動脈より2重支配を受けており,三枝ブロックによる完全房室ブロックは稀である.
- RCAは、最初の枝は円錐枝であり、続いて洞房結節枝を分枝する。さらに何本かの右室枝を分枝し、鋭縁部で大きな鋭縁枝を分枝し、房室枝および後下行枝を分枝していく。
- 左回旋枝は左室自由壁の後壁側と心房に分枝を出していく。最初の枝は心房枝で、このうちの1つは左洞房結節動脈と呼ばれる。洞結節動脈は多くは右冠状動脈より、一部では左 回旋枝より分岐し洞結節周囲を灌流するが、いずれもその起始部より分かれるため冠硬化の影響を受けることは少ない。下の図は間違えており房室結節枝ではなく心房枝??。鈍縁部で鈍縁枝を分枝後、後側壁枝(PL: posterolateral branch)および後下行枝(#15=PD =posterior descending)を分枝していく。
心音図
正常心音では,I音とⅡ音が聴取されます。比較的高調な音で,膜型聴診器で聴取します。
Ⅰ音
僧帽弁および三尖弁の閉鎖音です。心尖部で大きく聴取されます。
Ⅱ音
大動脈弁および肺動脈弁の閉鎖音で,大動脈弁の閉鎖音はⅡA,肺動脈弁の閉鎖音はⅡPで示されます。心基部で大きく聴取されます。
過剰心音
正常では聴こえないⅢ音やⅣ音は過剰心音です。心室壁の伸展性の障害により,流入する血液量が増加して,血液が心室壁にぶつかって発生します。
心尖部で最もよく聴取され,より低音のためベル型聴診器で聴取されやすい特徴があります。
Ⅲ音
心室の拡張期に心房から心室へ血液が流入する際に発生する音です。
30歳以下の人や妊婦では正常でも聴取しますが,壮年以上で呼気あるいは立位で消失しないものは異常です。僧帽弁逆流,動脈管開存,心室中隔欠損,左心不全,三尖弁逆流,肺動脈弁逆流,心房中隔欠損などで認めます。
Ⅳ音
右室あるいは左室負荷,または心室壁の伸展性が低下した状態で心房の収縮に一致して生じ,その強さは負荷の程度とよく比例します。乳幼児では正常でも聴取しますが,成人で聴取する場合は異常です。高血圧,左心不全,大動脈狭窄,肥大型心筋症,虚血性心疾患,肺高血圧,肺動脈狭窄などで認めます。
- 僧帽弁狭窄症でⅠ音増強なのに,大動脈弁狭窄症でⅡ音減弱の理由
■Ⅰ音
・房室弁(基本的には僧帽弁)が閉まる音。
心室圧が心房圧より高くなる瞬間に僧房弁は閉じる。
⇒音の強さは,弁が開いている時間長い程音が大きくなるということ、かつ弁より先の圧が高いほど大きくなる
⇒標準では,拡張期末期に弁がほぼ閉まりかけている⇒収縮期開始時に完全に閉まる
●僧帽弁狭窄症(MS)の場合
・心房から心室への血流が遅い→なかなか心室圧が心房圧より高くならない。
⇒拡張期終末に,弁がかなり長時間開いている、かつ心室は大動脈と違い閉鎖空間であり、MSにより心室圧が低くなることはない
⇒収縮期開始と同時に,弁が急激に閉まる
⇒Ⅰ音増強
というわけです。
■Ⅱ音
・大動脈弁,肺動脈弁の閉まる音
⇒拡張期開始時に、大動脈圧,肺動脈圧により閉まる(動脈圧が心室圧より高くなる瞬間に閉まる)
●大動脈弁狭窄症(AS)の場合
・大動脈への血流が減る⇒大動脈は心室と違い閉鎖空間ではない、かつASにより通常の血圧低い(=大動脈圧が低い)→大動脈圧が低い+弁尖が硬くて動きにくい⇒Ⅱ音減弱。
- Ⅱ音分裂
・生理的分裂
その名の通り普通の人でも聞こえる吸気時の分裂。
吸気時;
① 息を吸うと横隔膜が下がって胸腔内圧が低下する
② 胸腔内圧による圧迫が取れた静脈は拡張して、右室へ戻ってくる血液の量が増える=静脈還流量の増加
③ 右室が肺動脈へ駆出する血液量が増える
④ 駆出時間の延長によって肺動脈弁の閉鎖 (IIP)が遅れる
・固定性分裂
呼吸によらずIIAとIIPの間隔が固定されていて、変わらない。心房中隔欠損症(ASD)。
ASDでは左→右シャントが起きることにより、右心系の容量負荷が常にかかっている。そのため右室から肺動脈への駆出時間が長くなり、IIPは呼吸にかかわらず正常より遅れている。また、吸気時に静脈還流量が増えて右心系へ血液がたくさん来たとしても、もともと容量負荷がかかっているためそれ以上は増えにくく、増えたとしても左→右シャントが減少することによってその分は相殺されてしまうため、呼気時と分裂具合は変わらなくなる。※ちなみに左心房にとっては、吸気時には肺血管が広がって血流がプールされるため、血液が帰りにくくなる。そのため左心房から右心房へシャントする血液量も減る、という機序もある。
・病的分裂
呼気でも吸気でもII音が分裂して聞こえる。右室の駆出時間が伸びたり、遅れたりする場合。肺動脈弁が遅れて閉じるか、もしくは大動脈弁が早期に閉じるか。肺動脈狭窄症(PS)や右脚ブロック(RBBB)やMRや心室中隔欠損。
PSの場合:肺動脈が狭いため、右室から肺動脈へ駆出するのに時間がかかる→吸気・呼気ともに肺動脈弁の閉鎖が遅れる。右脚ブロックの場合:左室の興奮の後に右室の興奮が出てくるため、右室の収縮が遅れて肺動脈弁の閉鎖が遅れる。MRの場合は、普通A弁は大動脈圧が左室圧より高くなった瞬間に閉じるが、収縮期に左室から左房へ逆流起こっており左室圧は圧が低くなり、大動脈圧が容易に左室圧より高くなり、それにより早期にA弁が閉じる。VSDも左室から左房へ常に血流が流れており左室圧が通常より低い。そのためA弁が早期に閉じる。
・奇異性分裂(奇異=奇妙に異常である→逆転)
IIAとIIPの順序が逆転し、肺動脈弁の方が早く閉まる。また、普通の分裂とは逆で吸気時よりも呼気時の方が分裂がよく聞こえる (奇異性の所以?)。左室の駆出時間が伸びたり、遅れたりする場合で、大動脈弁狭窄症(AS)や左脚ブロック(LBBB)が主な例。病的分裂とは真逆の機序。
ASの場合、大動脈弁が狭いため、左室から大動脈へ駆出するのに時間がかかる→吸気・呼気ともに大動脈弁の閉鎖が遅れ、IIPの後にくるようになる。左脚ブロックの場合、右室の興奮の後に左室の興奮が出てくるため、左室の収縮が遅れて大動脈弁の閉鎖が遅れる。
右心カテ
肺動脈楔入圧は、おおむね左房圧を反映し、a波は僧房弁開放後の左房への血流流入後の左房収縮、c波は僧房弁閉鎖、x谷は左房の弛緩、v波は左房充満、y谷はワーイ!僧房弁開放。a=atrial kickを覚えよう!その後はM弁閉じて閉じた瞬間に圧上がり(c)、左房弛緩=x谷、v波=左房に血流十分に入り左房充満、y谷=僧房弁開く。V波増高はMRで。a波増高は左室拡張障害や心不全増悪で左房圧上昇時→atrial kickが頑張らいないといけない時に起こる。Afではa波は消失。y谷の深く急峻化は、収縮性心膜炎、拘束性心筋症、TR、右心不全など右心系圧が上昇する疾患で起こる。逆に心タンポナーデで左室拡張できない時に左室へ血流の流入障害が起きてy谷は消失する。
DOAC手術前中止方法
★NOAC(novel oral anticoagulant)の手術前中止方法
ダビガトラン イグザレルト エリキュース
低リスク 高リスク 低 高 低 高
≧80
≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr ≧24h≧48hr
50-80
≧36hr≧72hr ≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr
30-50
≧48hr ≧96hr ≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr
15-30
禁忌 禁忌 ≧36hr≧48hr ≧36hr≧48hr
<15 禁忌
※必ずしも抗凝固薬中止の必要なし; 抜歯など、白内障・緑内障手術、手術を伴わない内視鏡検査、表面的な手術
※低リスク; 内視鏡を使用した生検、膀胱や前立腺の生検、EPSやカテーテルアブレーション、血管造影、ペースメーカやICD埋め込み術
※高リスク; 複雑な左房アブレーション、脊髄または硬膜外麻酔、腰椎穿刺診断、腹部手術、胸部手術、主要な整形外科手術、肝生検、経尿道前立腺切除術、腎生検
AfとDC、NOAC、ABL、NOAC術前
★
薬が効果あるのは、2 - 3割。
薬は年をとると、かえって危なくなる。
★
AFLのABLの成功率は、95%以上。
★
ABLの合併症は、すべて1%以下。シンタンポ。穿刺部の内出血。ブロック(正常の通路を焼いてしまう)。
★
DCのpre 3週間は、NOACを。
★
ABL後、AFLは、NOACを3週間経過すればオフにできる。AFLのABLは、30分~1時間で終わる。
★
慢性AfのABLの適応;
LA≦50mm、70
★
ABL ;
患者のほとんどは、薬物療法が効果不十分な人
ABLを実施してもAfが再発すれば脳梗塞発症のリスクは存在するし、この手技自体が行われるようになってから十数年しか経過しておらず長期予後に関するエビデンスが十分とはいえない。
2013年に発表されたABLの適応は、
『高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず、かつ、重症肺疾患の無い、薬物治療抵抗性の有症候性のPaf』
となっている。
また、『薬物抵抗性の有症候性のPafまたは持続性Afや、 薬物が有効であるが患者がABLを希望する場合』は、ClassⅡa(有効であるという意見が多い)となっており、横須賀共済Hpでは積極的に施行されている。
『症状がない患者』をClassⅡb(有効である意見が少ない)とされているが、Afは脳梗塞発症リスクが高いことがわかっており、症状がない患者でも、脳梗塞に怯えながら生活するのは嫌だという患者、あるいは症状がなくて薬が効かない患者でも、横須賀では行われている。症状がない患者の場合、ABL後の再発検知の問題もあり、安易に施行すべきではないと思われるが、日々の自己検脈が可能な患者においては、ABLはリスク軽減のための治療選択肢の1つとなるかもしれない。
ABL後の不整脈の再発は、術後3ヶ月の間に多いといわれており、焼灼した場所に血栓ができる可能性もあるので、ガイドラインでも術後の抗凝固療法は少なくとも3ヶ月間継続することが望ましいとされている。ただし、CHADS2スコアが2点以上の患者や、Af再発の可能性が高い患者では、3ヶ月以降も抗凝固療法を半年あるいは1年間継続することを考慮している。横須賀では、経口抗凝固薬を中止する場合は、不整脈が出ていないことをしっかりと確認するが、ABLを実施する前の経食道エコーで左心耳血流が遅かった患者では、洞調律であっても血流速度が十分高くなっている(40cm/s以上)ことを確認してから経口抗凝固薬を中止している。
ABL合併症;
タンポ;1.22% - 1.28%
左房-食道ろう;0.02% - 0.04%
食道迷走神経障害;0.01% - 0.05%
脳梗塞;0.23% - 0.45%
肺静脈狭窄;0.02% - 0.74%
横隔神経障害;0.11% - 0.17%
血管傷害;0.96% - 1.47%
周術期死亡;0.02% - 0.15%
患者には、ABL後再発が疑われる場合、おかしいと思ったらすぐに受診するように指導。特に症状が乏しかった患者には、必ず1日に2 – 3回自己検脈を行う指導。
★
・洞調律維持のためのDC:AF発症48時間以内であれば、ヘパリン投与下で安全にDCを行うことが出来る。
初発のPAFが洞調律に復帰したら
・抗不整脈薬は投与しない。:PAFは半年1年再発しないこともあり、薬物の効果は分かりにくい。 また器質的心疾患があった場合禁忌になる可能性もある。
・それよりも危険因子の管理をしましょう。:高血圧、メタボリックシンドロームなど
発症後48時間以上持続した心房細動は
・抗不整脈薬は投与しない!→血栓が出来ていたら飛んでしまう。
・まず3週間は抗凝固療法を行う。(ワーファリンならPT-INR 2.0~3.0)
・食道エコーで血栓が無い事を確認してからDCを行う。
・DC後も心房収縮は回復しないので、4週間は抗凝固療法を継続する。
左心耳を観察できるのは食道エコー(TEE)のみ
・TEEで血栓がなけれは、DC前の抗凝固療法が不要となる可能性がある。
★
LA 45 以上あれば、DCしても再発する可能性高い。
★
・ClassⅠの薬物はナトリウムチャンネルブロッカーである。
それに加えてⅠaはカリウムチャンネルブロッカーでもある。
あとでピュアナトリウムチャンネルブロッカーとして開発されたのがⅠcである。
抗不整脈薬使用は死亡率を増大させる。
Ⅰa,Ⅰc群の慢性投与は致死性不整脈を発症させるリスクがある。必ず専門医と相談しましょう。
NAチャンネル遮断と催不整脈作用(Ⅰaを控えるべき病態)
・収縮不全(ほぼ禁忌)
・QRS幅が広い(QRS>120msec、CLBBB、心室伝導障害)
・高齢者、腎機能低下者(血中濃度測定が有用)
永続性心房細動に対するⅠ群薬の慢性投与は絶対にやってはいけない。
薬物によるリズムコントロール
・ピュアNaチャンネルブロッカーから使用する。
第一選択:ピルジカイニド
第二選択:ジソピラミド(リスモダンR)、シベンゾリン(シベノール)(Kチャンネルブロック作用を有する)
夜間発作:ジソピラミド、シベンゾリン(抗コリン作用)
昼間発作:プロパフェノン(BB作用を有する)
・しかし慢性投与は避ける(3~6ヶ月以上)。
・永続性心房細動には投与しない。
薬物によるリズムコントロールは長い闘いになる。
世界標準はアミオダロン
・世界では一般内科医も使用している。
・副作用も聴診による呼吸音のチェックで十分です。
アミオダロンに使用法
導入期(1~2週)は200mg/日で、維持期は50(-100)mg/日(最初からでもOK)
副作用は間質性肺炎(3%)。
中止が必要なのは1%。
軽症なら中止だけで寛解。
下肺野の捻髪音が最もセンシティブ
半年に1回 AST,ALT,4~6ヶ月に1回甲状腺機能をチェックしましょう。
・発作性心房細動、持続性心房細動の一部
・永続性心房細動は不要
・心房細動の予防には、
基本的には少量アミオダロン、HCM・心不全合併例には保険適応あり。
器質的心疾患にはⅠ群薬をできるだけ使用しない。
Ⅰ群薬は最小限で投与タイミングを考えて。リスモダンR150mg眠前、シベノール50mg眠前
発作時には Pill in the pocket
ピルジカイニド150mg単回投与:持続が7日以内の心房細動症例で45%の停止効果があった。
但し48時間以上持続して抗凝固療法していない方には使用しないこと。
PAFにはRFCA(アブレーション)の方が洞調律維持が高い。
持続性(一部の永続性)心房細動は リズムコントロール vs レートコントロール
AFFIRM試験は両者に差が無いことを示した。
但しリズムコントロール群にはⅠ群薬使用者が多く含まれており、洞調律に回復後 ワーファリンを中止した症例も存在することがあとで判明した。しかしその後世界はレートコントロールが主流となった。
★
イグザレルトは、4 – 6時間で効く!!
新規Af ; 48hrで血栓できるとは言われているが、12hrでもできるという報告もある。だから、DCは必ず、ワーファリン効いた状態で、なおかつ、血栓が無いことを確認してから行う。無理に外来で止める必要無し!!
★
イグザレルトの合同WEBカンファランスを見てきた。
講師は橋本洋一郎先生
心原性脳塞栓症については最近行った心原性脳塞栓症の研修のまとめに記載した通りだった。
○PT-INRが1.6超えていたら脳塞栓症を発症しても障害が軽く済む可能性がある。
○J ROCKET AF試験 日本人の用量は欧米人が20mg服用するのと日本人が15mg服用するのとで
CmaxとAUCがほとんど一緒だったためこの用量になっている。
この試験は二重盲検法かつダブルダミー法という方法で試験を行なっているので
プラザキサのRELY試験とはやり方が違う。
ワーファリン使用歴が9割の患者にあった。
CHADs2スコアは平均3.2くらいの患者が対象だった。
ワーファリンに比べて60%脳梗塞を減らしたというと
ものすごい効果のように聞こえるが有意差はなし。
○副作用で鼻出血と歯肉出血が多かったがその他の出血はワーファリンより
少なかった(少なくとも試験段階では)
○イグザレルトのバイオアベイラビリティはほぼ100%
○2/3が肝臓で代謝され、1/3が腎排泄。
○体重の因子が入っているCockcroftの式で腎機能を計算すること!
eGFRは体重の因子が入っていない。
特に小柄で高齢の女性に注意。CCr 15以下は禁忌!!!
CCr 30-49の患者は、10mgを使用。50以上は、15mgを使用。15-29の人は、PTみな
がら、10mgを。
○PT ; 15mgの場合、30秒以上だと中止、または減量する!!!10mgの場合、27 or
28秒以上だと、中止する。投与開始、2 – 4時間後がピーク!!!
○イグザレルトの効果はPTと相関するためPTはチェックしておく。PT
○定期的に採血すべき項目としてはPTとヘモグロビンと腎機能。
○出血のリスクの高い人は、血圧管理が非常に大事になる!!!アルコールの節酒も大事!!!
○CCr15mL/min未満の患者は禁忌だが、それ以上なら使える。
この点はプラザキサより適応範囲が広い。
○1日1回で済むのでプラザキサより良好なコンプライアンスを維持できる可能性がある。
○イグザレルトからワーファリンに切り替えるときは
PT-INRが治療域に達するまで併用する。
○ワーファリンからイグザレルトに切り替えるときは
治療域の下限以下であることを確認してから投与開始。
○プラザキサからイグザレルトに切り替えるときは12時間の間隔をあけてから
イグザレルト開始
○イグザレルトからプラザキサに切り替えるときは24時間の間隔をあけてから
プラザキサ開始
○内視鏡や手術前の休薬は腎機能正常なら24時間。しかし、通常の胃カメラ、粘膜生検で
中止せずに行う。
○のみ忘れた場合1日1回いつでもいいが、夜に飲んだら次の服用までには12時間あける。
○出血時の止血は添付文書通りにFFPで対応。特異的な拮抗薬はない。
○一包化は可能
○75歳以下、50kg以下は、ワーファリンの方がよい!!イグザレルトよりも。
○粉砕や簡易懸濁は血中濃度が急激に上昇するおそれがあるので推奨しない。
○たとえ急性期に飲み込みが悪い人や経管投与の人に飲ませても
退院してリハ病棟に入って
コストが高いため継続されない可能性がある。
→結局粉砕しなければいけないような人にはあまり勧められない。
飲めない人にはワーファリンでこれからも対応していくことになるのではないか。
以上のような内容
一部メーカーの適正使用ガイドから抜粋
★
Ⅰ、症例
心外術後の方で、2日前からPaf出現し持続。それまでは、3日に1回程度のPafであった。Paf消失後はポーズがある方。
今回、Paf持続、心不全持続するため、当科足立先生紹介。Severe hypoの方。
DCを施行。
DC施行後、ポーズあり、数秒間だけ心マ施行。その後再びPaf。
2回目DCも効果無し。
この方は、アンカロン点滴治療行う。
ペースメーカ治療も行う。
ペースメーカで徐脈(ポーズ)をカバー。
頻脈はアンカロン内服でカバー。
それでも頻脈持続する場合は、AV node をアブレーションし、ペースメーカでのHR管理を行う。
Ⅱ、DCの仕方
Vfは同期しない。VTとAfは同期する。しかし、はっきりしないVTはR on TとなりVFを誘発するので、はっきりしないVTは同期しない。
Af → 50J 再発したらもう一度50J
VT → 150J
DC前は、あらかじめ酸素化をしておく。ワーファリンは必ず、1.6-2.6で効かせておく。DC時は必ずワーファリンが効いていること、さらにへパリン2000 – 5000 ivして施行する。
ICDが入っている方でも、体外式DCも必ず用意しておく。足立先生が過去にICDのDCで効かない時が1度あった。その時に体外式DCで除細動できた。
プロポフォールは、4 – 10mlをiv。
1度に10ml ivする人もいる。
Ⅲ、ICDの作動チェック
400ms(150回/分)のV paceを4連発し、最後の1発に R on Tを行い、Vfを誘発させる。いろいろな研究で、このやり方が一番、Vfを誘発できることがわかった。
10J除細動成功した。
★NOAC(novel oral anticoagulant)の手術前中止方法
ダビガトラン イグザレルト エリキュース
低リスク 高リスク 低 高 低 高
≧80
≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr ≧24h≧48hr
50-80
≧36hr≧72hr ≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr
30-50
≧48hr ≧96hr ≧24hr≧48hr ≧24hr≧48hr
15-30
禁忌 禁忌 ≧36hr≧48hr ≧36hr≧48hr
<15 禁忌
※必ずしも抗凝固薬中止の必要なし; 抜歯など、白内障・緑内障手術、手術を伴わない内視鏡検査、表面的な手術
※低リスク; 内視鏡を使用した生検、膀胱や前立腺の生検、EPSやカテーテルアブレーション、血管造影、ペースメーカやICD埋め込み術
※高リスク; 複雑な左房アブレーション、脊髄または硬膜外麻酔、腰椎穿刺診断、腹部手術、胸部手術、主要な整形外科手術、肝生検、経尿道前立腺切除術、腎生検
★
エリキュース;
エリキュース;(5)2T 2×朝、夕食後
80歳以上
60kg以下
Cr 1.5以上 これら3つのうち、2つ以上あれば、(2.5)2T 2×朝、夕食後
CCr < 15 は、禁忌!!
※Hbをフォロー。
※CHADS score ; 1点 → エビデンスAはエリキュースのみを推奨。
※75歳以上でも、出血リスク少ない。イグザレルトは75歳以上は、やめた方がよい!!
※CCr< 20なら、ワーファリンの方がよいだろう。
※1次予防なら、抗血小板剤は併用しない方がよい!!出血リスクが上昇する。
★
透析患者のワーファリンは、山下先生は、
PT-INR 1.6 – 2.0 で投与していると言
ワソラン、ドルミカム、ニトプロ、シグマート使用方法
ワソラン、ドルミカム、ニトプロ使用方法
★ワソラン
生食100+ワソラン1A(=5mg)
上記を2ml or 3ml 看護師からもらう
これを10mlに溶かしゆっくり冠注
生食 8ml+ドルミカム1A(=10mg/2ml) → 計10ml
上記を1ml or 2ml iv後に4.0 ml/hrで持続
★シグマート
生食12mlで12mgを溶かし、その12mlの内、2mlずつ冠注
★ニトプロ
6mg/2ml+生食4ml= 6mg/6mlにして、これを1mlもらう(=1mg)
↓
普段というか今まではこれを10mlに溶かしてゆっくり投与していたが血圧下がりすぎるので、これをさらに10倍に薄めて(つまり100μgずつ)投与したほうが安全