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1,220例。薬剤溶出性ステント(DES)によるPCIが予定されている安定1~3枝CAD患者。 ■患者背景:年齢(PCI群63.52歳,薬物治療群63.86歳,登録コホート63.58歳),男性(79.6%, 76.6%, 68.1%;p=0.005),CAD家族歴(48.3%, 46.9%, 45.8%),高血圧(77.6%, 77.8%, 81.9%),高コレステロール血症(73.8%, 78.9%, 71.1%),糖尿病(27.5%, 26.5%, 25.3%),末梢血管疾患(9.6%, 10.7%, 4.8%;p=0.03),EF<50%(19.6%, 13.7%, 18.0%)。 狭心症:無症候性(11.9%, 10.5%, 10.2%);CCS class I(18.3%, 22.3%, 25.3%);class II(45.6%, 44.8%, 44.6%)。 冠動脈造影所見:病変数/患者(1.87, 1.73, 1.32;p<0.001),有意な病変≧1の血管数(1:56.2%, 59.2%, 81.9%;2:34.9%, 33.1%, 15.7%;p<0.001),左前下行枝近位部~中央部の≧1病変(65.1%, 62.6%, 44.6%;p<0.001)。 FFR所見:病変数/患者(1.52, 1.42, 0.03;p<0.001),有意な病変≧1の血管数(1:74.0%, 77.8%, 3.0%;2:22.8%, 19.3%, 0%),左前下行枝近位部~中央部に≧1病変(62.4%, 59.6%, 0.6%;p<0.001)。 * p値はPCI群+薬物治療群 vs 登録コホート。
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■2年後の結果(N Engl J Med. 2014; 371: 1208-17.) 2年後の薬物治療群のPCI群へのクロスオーバーは179例(40.6%),PCI群の36例(8.1%)が再血行再建術を施行。 一方,FFR>0.80であった登録コホート(166例)のPCI群へのクロスオーバーは12.0%。 [一次エンドポイント] PCI群で薬物治療群にくらべ有意に低下した(8.1% vs 19.5%:ハザード比0.39;95%信頼区間0.26~0.57, p<0.001)。これは同群で緊急血行再建術が少なかったためで(4.0% vs 16.3%:0.23;0.14~0.38, p<0.001),MIまたはECG上の虚血変化によるものは同群のほうが少なかった(3.4% vs 7.0%, p=0.01)。死亡,MIには両群間差はなかった。 登録コホート(発生率9%)と比較すると,PCI群のリスクは同等だったが(0.90;0.49~1.64, p=0.72),薬物治療群は高かった(2.34;1.35~4.05, p=0.002)。 [その他のエンドポイント] 心血管死は両群とも3例,全血行再建術(8.1% vs 40.6%:0.16;0.11~0.22)は非緊急例(4.0% vs 26.5%:0.13;0.08~0.22)も含め,PCI群で有意に少なかった。 [ランダム化から7日後を起点にしたランドマーク解析] 一次エンドポイントは,0~7日はPCI群のほうが薬物治療群にくらべ多かったが(2.49;0.78~8.00),8日~2年後は同群が有意に少なかった(0.29;0.18~0.45;交互作用のp<0.001)。 死亡,MIもほぼ同様の結果であった(9.01;1.13~72.0, 0.56;0.32~0.97;交互作用のp=0.002)。 ★結論★安定冠動脈疾患患者において,FFRガイドによるPCI+薬物治療群は薬物治療群よりも転帰が良好であった。虚血を有していない症例は,薬物治療のみで転帰良好であった。 ■7か月後の結果(N Engl J Med. 2012; 367: 991-1001.) PCI群で一次エンドポイントの有意な抑制が認められたため,試験は2012年1月15日に早期中止された。 [一次エンドポイント] PCI群で薬物治療群にくらべ有意に低下した(4.3% vs 12.7%:ハザード比0.32;95%信頼区間0.19~0.53, p<0.001)。 登録コホート(3%)と比較すると,PCI群の一次エンドポイント発生率は同等だったが(1.29;0.49~3.39, p=0.61),薬物治療群では著明に増加した(4.32;1.75~10.66, p=0.001)。 [二次エンドポイント] 全死亡と非致死的MIについてはPCI群と薬物治療群の差は認められなかったが,緊急再血行再建術のリスクはPCI群で著しく低下した(1.6% vs 11.1%:0.13;0.06~0.30, p<0.001)。とくに,PCI群では心筋梗塞またはECG上の虚血を伴う不安定狭心症による緊急血行再建術が有意に抑制された(0.9% vs 5.2%:0.13;0.04~0.43, p<0.001)。 ★結論★DESによるPCIを施行予定の安定1~3枝病変患者において,冠血流予備量比を指標として機能的に有意な狭窄病変へのPCI+至適薬物治療は,至適薬物治療のみにくらべ有害心イベント,とくに緊急再血行再建術のリスクを有意に抑制した。 ClinicalTrials. gov No: NCT01132495
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