ペースメーカ基礎
ペースメーカ
<ペースメーカの適応>
Ⅰ、SSS
Ⅱ、房室ブロック
Ⅲ、徐脈性Af
※AAI(ApAs)、VVI(VpVs)、DDDの3つが大事。
VVIR ;
最初;ペーシング部位;V A D
2番目;センシング部位
3番目;センシングした後の動作;T=Triggers Pacing(同期) I=Inhibits Pacing(抑制)
VDD(VpAsVs) ; シングルリード、シングルなのでリードが切れたら終わり。もう使用されなくなった。
DDDについて;
DDDの主な設定;
基本レート;50ppm ~ 70ppm
AV間隔;150msec ~ 250msec PQ間隔;200msec以内
上限レート;120ppm ~ 140ppm
出力;2.5v, 0.4msec(心房)
2.5v, 0.4msec(心室)
感度;0.5 mV(心房)
2.5mV(心室)
★センシング感度(Sensitivity)
A.Vの出力;閾値の3 ~ 5倍で設定する。だいたい 2.5 V ~3.5 Vで設定する。
同期(Trigger)について;
DDDは、最近はすべて、T(同期)はついている。
上から1番目、2番目の写真のように、
必ず、P波を感じて、次にペーシングしようとする。
その時に、自己のR波があると抑制がきき、打たない。
Upper rateが120で設定していたら、Af発症して、HR 110くらいでペースメーカもついていって、HR 110くらいでT(同期)して、ペースメーカはついていく。
DDI ;
1番下の写真。
一方で、upper rateの制限設定は無い。同期(T)がない。常に、HR 60で打っている。
★
ATR(=atrial tachycardia response ; 心房頻拍応答機能)
一過性の心房性頻脈を持っている患者は、DDIと一過性になり、心房性頻脈時、不適切に速い心室ペーシングを予防する。
レートレスポンスの主な設定;
基本レート ; 60ppm
上限センサーレート ; 130ppm
出力 ; 2.5V, 0.5msec
感度 ; 2.5mV(心室)
<洞不全症候群>
Total QRS が6万ビート以下;ペースメーカ適応。
Ⅰ型;洞徐脈、Ⅱ型;洞停止、Ⅲ型;徐脈頻脈症候群
洞不全症候群では心房ペーシング(AAI)のみで十分なはずだが、房室ブロックを合併する可能性も考え、通常心房ペーシング(DDD)が埋め込まれる。
しかし、そのために不要な右室ペーシングが行われ、右室壁運動にdyssunchronyが生じ、心不全、Afの発症リスクが高まる。
↓
通常は、AAIモードで作動し、房室伝導が悪化した時のみDDDモードに切り替わるMedtroic社のMVP(managed ventricular pacing)というシステムが開発された。
MVP機能を搭載したDDDペースメーカでは、洞不全症候群におけるAfの発生が40%も抑制された。
<房室ブロック>
房室ブロックでは、通常DDDモードを設定する。
VVIに設定してあるなら、ope時間を短縮する何らかの理由があるか、Afがあるか、である。VVIは1本リードなので不安定である。
★★ペースメーカ外来
オーダー① → テンプレート → ペースメーカ外来
閾値;心房 1.0 V以下がO.K.
心室 1.0V以下がO.K 1.5VくらいならO.K
ペースメーカ機械がすでに0.35 ms ~ 0.40 msで設定してある
感度;どれだけ感じているか。なので、値が高ければ高いほどよい。P波もしくはR波
どれだけ感知できるか。
心房;2 ~ 3 mV以上(1だと低い!!!徐々に下がっていっていれば、胸部xp
を!!)あればO.K.、
心室;7 ~ 8 mV 以上(5くらいあればよい。3は低い!!!)あればO.K.
※感度、1.5と4で、覚える!
※抵抗;1000以下であればO.K.
リード抵抗(インピーダンス)
→ 正常;300-1000くらい
※教科書的には、
ペーシング閾値;
1.0V 以下、できれば0.5V以下が望ましい。
センシング閾値:
R ; 7mV以上、できれば10mV以上が望ましい。
P;1.5mV以上
<Telemtry>
電池寿命
<VPC>
<failureの理由>
Ⅰ、リードのダメージ。リードは曲がっているから。収縮、拡張で常に曲がったりしている。
Ⅱ、本体の回路がダメになった。
Ⅲ、DCMみたいに心筋組織が変性してダメになった。
<VVIモード>
緊急体外式ペースメーカ術ではVVI。
HR;30台の患者で、HR;70に設定して、
感度(緑);最初、5mVにして徐々にさげていく。スパイクが出始めた時点が閾値。
アンダーセンシング;感知しにくくなった状態。自己波形が出ているのに、一定の間隔でスパイクが出る。スパイクがT波に重なるとスパイク on TでVTに移行する恐れがある。
オーバーセンシング;感知しすぎる状態。筋電図やノイズを誤認してペーシングが必要な状態でもペーシングしない。
例)、センシング:10mVでアンダーセンスしたため2mV、この設定は間違ってますか?
→アンダーセンシグだったら、数値の設定を下げる!!
センシング感度はセンシング閾値の1/2~2/3以下 が適切とされていますので、 その設定で特に問題ないと思います。
オーバーセンシングだったら数値を上げる!!!
★
1番多いのが、DDD。次に多いのが、VVI。最も良いのが2本リードだが、不穏が多くて2本も入れ れない人もいる。だいたい3つ。
① DDD、②AAI、③VDD、④おまけでVVI
<VDD>
· 1本リード。自分の脈を利用して、Vを打っている。洞停止(SSS)が無い人に適応。
<VVI>
· 除脈性Afが適応。
· Aを入れる意味が無いから。
<頻拍性Af>
アブレーション ペース VVI
→ ジャンクションを切って、VVIを。
絶対不応期;
どのような電位もセンスしない。
相対不応期;
センシングは再開する。しかし、抑制や同期といった反応をしない期間。
また、不応期内でセンスをした時点より、再度、不応期が設定される。
不応期;不応期の期間を長くすればするほど、自己をより打たせる設定となる。
HR 70ppm 、不応期 350msに設定されているAAIです。
1~3拍目は、心房スパイクを認めることから、ペースメーカによる刺激による波形である。
4拍目は、スパイクが無いので、自己のP波です。それをペースメーカがセンスして、そこから不応期が始まります。不応期350sm 内に、次の自己のP波があるので、5拍目も自己が、抑制されずに自己波が打たれました。
ここで、不応期をより短くすれば、ここだと320ms以下にすれば、5拍目の自己波は抑制できます。
※DDDの主な設定;
基本レート;50ppm ~ 70ppm
AV間隔;150msec ~ 250msec PQ間隔;200msec以内
※不応期; 250msec ~ 300msec で基本設定されている。それを超えて悪いことが起こることはほとんどない!!!
★
上の写真のAAIでは、不応期は心房興奮後に設定されるが、DDDの場合の不応期は心室興奮後に設定される。なぜか。
→ 一部の患者では、心室を電気刺激すると、その興奮が心房まで伝導してしまうことがある。これを逆伝導という。その時に、心室後の逆伝導を、P波であると感知してしまう可能性があるため、、、、、、上記設定となる。
※逆行性伝導がある患者の場合には、PVARP(Post Ventricular Atrial Refractry Period)不応期を、20~30msex延長させる。
★
直接、体に、電気を通すもの、外へ強い電磁波を出すものに注意。
電気毛布、IH炊飯器 ;
普通に使用する限り、影響は与えない。
しかし、長時間使用するものだから、できれば事前にふとんを温めておき、眠るときはコンセントを抜くほうがよい。
ピップエリキバンは、貼るのはかまわないが近いところに貼らない。
体脂肪計は、使用しない。
全自動マージャン卓は、使用しない。
電気風呂はダメ。
マッサージチェアは、基本的には大丈夫。今の電気製品は、基本的に御高齢対象(ペースメーカも多い対象群)のために作られているものだから。もし、気分が悪くなった場合は、そこから離れて下さいとだけ、伝えればよい。もしあるとしたら、ペースメーカが自己脈と感知してしまい、脈を打たなくなることがあるかもしれない。
★
植え込み後、1 – 3ヶ月すれば、散歩、軽いジョギング、ゲートボール、プールの中を歩くなどの運動は良い。たいていの運動に制限は無い。
激しく体がぶつかる運動、柔道などはやめる。
ペースメーカの植え込み部位に近い腕の筋肉を続けて動かす運動、腕立て伏せ、鉄棒のぶら下がりなども避ける。
★
ヒステリシス(hysteresis);
自己のQRSをできるだけ温存するためになされる設定。
設定レートは60ppmでも、ヒステリシスの設定レートが50ppmに設定してあると、自己脈の後のみ50ppmまでいつもより長めに待つ。
★
心室セーフティペーシング(VSP);
心房ペーシングとほぼ同時にPVCが発生した場合、Spike on Tになる可能性がある。そこで、心房ペーシングから110ms以内にV sense(VS)があると、VSPが作動し、心房ペーシングから110msでV ペーシングが起こる。これをVSPという。
そんな難しいことしなくても、まったく逆にVペーシング自体をしなければよいのではないかと思われるだろう。しかし、このAVdelayの間に、心房の自己の脈などの電気現象も生じえる。
※DDDの主な設定;
基本レート;50ppm ~ 70ppm
AV間隔;150msec ~ 250msec PQ間隔;200msec以内
※不応期; 250msec ~ 300msec で基本設定されている。それを超えて悪いことが起こることはほとんどない!!!
★
PVARP自動延長機能;
PVCによる逆行性P波を感知し(一部の患者では、心室を電気刺激すると、その興奮が心房まで伝導してしまうことがある。これを逆伝導という。その時に、心室後の逆伝導を、P波であると感知してしまう可能性がある)、これにより上室頻拍が誘発されることがある。もし患者側に心室の電気興奮を心房に逆伝導する機能(室房伝導)がある場合には、心房から心室への伝導はペースメーカで、心室から心房への逆伝導は自己の機能で、行う形となり、ひとつの興奮旋回路が生じてしまう。この上室頻拍をPacemaker-mediated tachycardia(PMT)と呼ぶ。
メドトロは、PMTの原因の1つであるPVCが起こった時に、自動的にPVARPをその時だけ400msに延長し、PMTへの移行を回避する。